フィラデルフィアのトーマス・ジェファーソン大学との交流から生まれた「ジャパンセンター」構想。
今回は、吉新理事長みずからこの「ジャパンセンター」構想についてお伝えします。
へき地に重要な3要素 - 搬送、情報、生涯教育
へき地に重要な3要素として、オーストラリアでは古くから搬送(患者だけでなく、医療スタッフも)、生涯教育、そして無線(情報の共有)が挙げられていました。しかしこの3つはあまりしっくり来ず、私自身はそう思っていませんでした。というのは、かつて日本のへき地においては一人医者のクリニックが多かったからです。ところが自分自身がJADECOMを組織し、その規模がだんだん大きくなるにつれ、まさにこの3つこそ地域医療やへき地医療の解決の3要素だと思うようになりました。
JADECOMは、今、フライングドクターシステムの実現によって搬送への取り組みを始めています。またMicrosoft Office SharePoint Serverを使用して、全国の協会施設間の情報の共有も図れるようになりました。
さあ、次は「生涯教育」です。
トーマス・ジェファーソン大学との交流から生まれた「ジャパンセンター」構想
JADECOMでは以前からオレゴン健康科学大学(OHSU)と交流を深め、JADECOM-OHSUとして毎年、研修医を送ってきました。OHSUは山間部にも診療所をかかえ、米国でも有数のへき地医療教育が充実したメディカルスクールです。
昨年からは、JADECOM-NKP(野口研修プログラム)が稼働し、ハワイ大学、フィラデルフィアのトーマス・ジェファーソン大学との交流ができました。そこで生まれたのが、トーマス・ジェファーソン大学「ジャパンセンター」構想です。ハワイ大学も検討中です。
これからの国際的な医療のために
トーマス・ジェファーソン大学には、医師だけでなく、看護師、コメディカルそして事務も学士入学して、一定期間の教育を受け、国家試験を受けることで資格を取得できるシステムがあります。その枠組みをJADECOMに対して広げようというものです。
日本では医師の臨床教育システムは徐々に整備されてきましたが、一旦職に就いたコメディカルや事務職員への教育はあまり充実しているとはいえません。しかし、グローバリゼーションの流れの中、海外との連携、日本に滞在する外国人の診療等において、JADECOM職員のコミュニケーション能力の向上は必須と考えています。
すでにトーマス・ジェファーソン大学のそばに宿舎の用意や英語教育の用意も進め、本年10月から試験的にJADECOM-TJUジャパンセンターへの留学希望者を募る予定です。
JADECOMの職員でありながら、トーマス・ジェファーソン大学へ留学し、米国の資格を取得できる———職員にとっては、大きな夢が広がるのではないでしょうか。
もちろん、見学だけという方も参加できるように、それぞれの要望に応じた対応をしていきたいと思います。将来的には、JADECOMの職員だけでなく、外部の人にも門戸を広げていきたいと考えています。
公益社団法人地域医療振興協会
理事長 吉新通康
Thomas Jefferson University
トーマスジェファーソン大学は、フィラデルフィア市中心部にある全米屈指の医療系(医学部・薬学部・看護学部・保健学部を供する)私立大学(1824年設立)です。
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