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第8回臨床研修プログラム「JADECOM-NKP」について

2012年2月、東京ベイ・浦安市川医療センターの新病院がスタートし、地域医療振興協会が野口医学研究所と協力して提供する臨床研修プログラム「JADECOM-NKP」が本格的に始動しました。
本プログラムでは医療の標準化が最終的には地域そして日本の医療レベル向上に資するとの考えから、国際医療・教育標準を念頭に、JCI(Joint Commission International)やACGME-I(The Accreditation Council for Graduate Medical Education International)取得を念頭に置いた研修プログラムとなっています。しかしあくまでJADECOMの基本は地域医療です。そして今現在日本が抱えている地域医療の問題の根底にも標準化に関わる医学研修の問題があるとの分析から、JADECOM-NKPには、地域医療振興協会の他の研修プログラムと同様、地域医療研修が組み込まれています。

東京ベイ・浦安市川医療センターにある野口英世像の画像

東京ベイ・浦安市川医療センターにある

野口英世像

今回は、

  • JADECOM-NKP研修委員会委員長・米国財団法人野口医学研究所理事長・ハワイ大学医学部外科教授 町淳二先生(写真左)
  • 東京ベイ・浦安市川医療センターセンター長 藤谷茂樹先生(写真右)


にお話を伺いました。

米国財団法人野口医学研究所理事長 ハワイ大学医学部外科教授  町 淳二先生  と、東京ベイ・浦安市川医療センター センター長 藤谷 茂樹先生の写真町淳二先生(左)と谷茂樹先生(右)

インタビュー

診療=教育

教育の質を上げるためには診療の質を上げる(町淳二)

「臨床教育というのはベッドサイドですべきものです。偉い先生が講義をしても駄目。もちろん種々のカンファレンスはしますが、日々ベッドサイドでいかに教えていくか。つまり診療イコール教育なのですね。
 診療と教育を分けること自体が間違っています。ですからいい診療(すなわち国際的にも通用する標準医療)をしないといい教育はできない。そしていい診療をするにはチーム医療が非常に大切なのです。このチーム医療というのは医師、看護師、コメディカルといった医療従事者に限らず、事務スタッフを含め病院内のあらゆる職種の人たちが協力してするものです。

今、東京ベイ・浦安市川医療センターでは、JCIというアメリカの病院評価を2年後に取得することを目指しています。これはチーム医療を推進する上で非常に有効です。通常の患者ケアに加えて医療安全、危機管理、効率的な病院運営等々…何百もの項目について、病院内のみんなが一丸となって診療をよくしていこうと努めています。診療の質が上がれば当然教育・研修の質も上がります。
研修については、ACGME(卒後医学教育認可評議会)のInternational版の認可取得を目指しています。ACGMEは、全米全てのの臨床研修病院研修プログラムを監査認可し標準化を行うことで研修教育の質を高め、能力ある医師育成と医療レベルを向上させることを目的とした組織です。非常にハードルは高いですが、ぜひ日本では第1号で取得したいと思っています。

さて、JADECOM-NKPという国際標準の研修システムで育った医師たちを、研修終了後どうしていくのか?

基本的に教育の見返りを求めるつもりはありません。教育の中で“ジェネラル”“地域医療”ということをみっちりたたき込みますので、最終的にはJADECOM、あるいは地域医療という道に進んでくれることを期待していますし、その人たちが更にJADECOM-NKPの後輩を育成してくれるでしょう。
野口医学研究所が培ってきたアメリカ的な診療、教育のいいところに、JADECOMの優れた組織力と日本のいいところを取り入れて『こんなことができますよ』ということを発信しながら、日本の中でそういった教育のできるロールモデルとなる研修病院となっていきたいと思っています。」

野口医学セミナーでのグループセッションの画像

野口医学セミナーでのグループセッション

協会のリソースを有効に活用

6つのコンピテンシーを教えていく(藤谷茂樹)

「JADECOMには全国で運営している57の施設があり、このリソースは臨床教育をするうえで宝となります。です。JADECOM-NKPが創設されたことにより、今まで発掘されていなかった地域の宝をいかにうまく活用していくかということが非常に重要になってきます。
私は自治医大の卒業生で卒後9年間は出身県のへき地・地域医療に従事しました。その経験から基盤がしっかりした組織で地域医療を学べば、医師としてその後の伸びも早いということを実感しています。ですから私が受けてきたような教育を、JADECOMの施設を有効利用して、JADECOM-NKPの後期研修医へ提供できたらと考えています。とはいえ、研修医の先生たちを地域に送って送りっぱなしということのないように、教育の質はJADECOM-NKPが保証する、といったプログラムにできればと思っています。

ACGMEには6つのコンピテンシーがあって、1つは患者のケア。2つ目は医学的知識。3つ目は自己研鑚自分で学習できる能力。4つ目は対人・コミュニケーションスキル。5つ目はプロフェッショナリズム。そして6つ目にシステム、リソースをうまく使って効率よい安全安心な医療実行能力。東京ベイ・浦安市川医療センターだけでこのコンピテンシー6つ全てを教えるのは不可能です。6つのコンピテンシーをいかに地域のリソースを活用して教育し、全人的な医師を育成していくか、そこに今、私はとても興味をもっています。

JADECOM-NKPとしては、ACGMEの6つのコンピテンシーに則って指導していく病院を東京ベイ・浦安市川医療センターのみでなく他の病院にも拡げていきたいと考えています。その一つが練馬光が丘病院です。練馬光が丘病院が将来的に基幹型臨床研修病院としての使命を果たせるように、われわれが、全面的に協力しバックアップしています。そして、協会が運営している既存の基幹型臨床研修病院と連携しながら、JADECOM全体の教育の質を高めて魅力的なプログラムにしていきたいと思います」

 

研修風景の画像研修風景

6つのコンピテンシー
  1. 患者のケア
  2. 医学的知識
  3. 自己研鑽、自分で学習できる能力
  4. 対人・コミュニケーションスキル
  5. プロフェッショナリズム
  6. システム、リソースをうまく使って効率良い安全安心な医療実行能力

バックナンバー

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