ローソン台東病院店(病院2階)
台東区立台東病院・老人保健施設千束は「地域ヘルスプロモーション病院としての取り組み」を運営方針の一つとして掲げています。
その取り組みの一環として、院内にある「ローソン台東病院店」にて、職員の食生活改善および地域に向けた食情報発信の拠点となることを目的とした「ヘルシーローソンプロジェクト」を立ち上げました。
台東病院 運営方針
- 地域包括ケア拠点としての役割
- 地域包括ケアを支える人材の育成
- 地域ヘルスプロモーション病院としての取り組み
PROJECT 1 職員の食生活改善
プロジェクトの開始にあたり、2018年5月に職員を対象とした食事調査を行いました。その結果、下記のことが分かりました。
- 約4割が週3日以上、ローソンで食事を調達している
- 約8割が「現状では主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上とる自信がない」と感じている
- 約9割が野菜不足、そしてほぼ全員が食塩をとりすぎている可能性がある
健康&お得!”ヘルシーセット”
職員が主食・主菜・副菜のそろったバランスの良い食事を、職場で手軽にとることができるよう、ローソンの商品を組み合わせた「ヘルシーセット」を手ごろな値段で販売することにしました。
セットの種類も豊富!
ヘルシーセットの基準 |
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砂糖不使用の飲み物を増やす
飲料水のコーナーでは、砂糖を含む飲料を減らし、無糖飲料を増やすなど、商品の構成割合を変更しました。
ドリンクコーナー。飲料コーナーの商品割合で色分けすると…
全体の6割以上が砂糖不使用
A. 水・お茶などの無糖飲料
B. 砂糖不使用の100%ジュース、牛乳、豆乳など
砂糖を使用した飲料は4割以下
C. 甘いコーヒー、炭酸飲料など
一目瞭然な塩分量
カップ麺コーナーでは食塩含有量を実際の食塩を用いて表示して含有量順に陳列するなど、教育的工夫もしました。
食塩含有量順に商品を陳列
本物の食塩袋があって、視覚的にわかります
プロジェクトの結果
職員の「主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上とる自信」が高まり、サラダなど野菜を多く含む総菜類や、無糖飲料の売り上げが増えたことから、職員の意識や購買行動が少しずつ変わってきていることがうかがえます。
主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上とる自信がある職員が、21%(18年度)から29%(19年度)に増加。
「主食・主菜・副菜をそろえる自信」のアンケート結果
野菜の惣菜、無糖飲料が売上げを伸ばし、2019年4月~10月平均で、加糖飲料・カップ麺類は前年を下回りました。
「商品ごとの売上」の統計結果
職員の声
コンビニのおにぎりには食塩が多く含まれていることを知りました。6 g/日未満の食塩摂取量が望ましいと言われている中で、コンビニのおにぎりは1個で1gを超えます。
高橋 麻衣子 医師(総合診療科)
ヘルシーセット、愛用しています。リーズナブルで野菜もとれるので、嬉しいです。
岩渕 千代子 看護師長
カップ麺に含まれる食塩量を、実際の食塩で表示してあるので、わかりやすいです。外部から施設見学に来られる方々も、興味深く見ていかれます。
鈴木 慶介 薬剤室主任
野菜ジュースをよく買います。温野菜などの惣菜類も増えて嬉しいです。
堤 晴奈 理学療法士
飲み込むことが困難な方々のためのゼリー飲料やとろみ食の販売も始めました。
添田 文子 栄養室主任(右)
実際の食べ物があることで、退院時のお食事の説明がしやすくなりました。
桶田 美穂 管理栄養士(左)
PROJECT 2 地域に向けた食情報発信
職員の食生活改善だけでなく、ローソンを利用する地域の皆様にも健康的な食事について知っていただくため、食に関する情報紙「ローソン台東病院店のかわら版」を毎月発行しています。
地域の方の声
何が入っているか、食材がわかるのが気に入っています!一人分の煮物が買えるのもいいですね。
病院にコーヒーを飲みながら本が読める場所があるなんて、いいですね。
FUTURE 今後に向けて
ヘルシーローソンプロジェクトをはじめ、様々な地域ヘルスプロモーション病院としての取り組みが評価され、2019年度の厚生労働省のスマートライフプロジェクト「第8回健康寿命をのばそう!アワード」で、健康局長優良賞を受賞しました。
患者、職員、地域を元気にする “地域ヘルスプロモーション病院”の活動(2016年度から開始)
5つの特色
- 健康推進委員会を核とした職員参加型の活動
- 行政機関や学校等と連携・協働した地域活動
- 食環境整備としてのヘルシー・コンビニ・プロジェクト
- 保険診療✕保健事業による日本初の新しい禁煙治療の提供
- 台東区からの指定管理における活動の位置づけ
山田 隆司 管理者(右)
今後は、職員や高齢の利用者だけでなく、地域の子供たちにもコンビニの上手な利用法を知っていただく「食育」の場にもしていきたいと考えています。