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第7回フライングドクターシステム トライアル運航について

ヘリコプターを利用した人的・物資搬送支援

医師確保が困難なへき地・離島に対して医師を派遣し、診療支援を行うことについては地域医療振興協会にとって現在最も力を入れて取り組んでいる事業の一つです。その中で課題となっているのは、医師を派遣する際に、移動に時間がかかるため派遣先医療機関の診療時間が短くなったり、公共交通機関の運航ダイヤに縛られて1日の診療のために1泊2日拘束されてしまうことです。

そこで計画されたのが、フライングドクターシステム(以下、FDS)です。当初は移動手段としてセスナ機の導入を進めていましたが、震災時に、ヘリコプターを利用して人的・物資搬送支援を行ったことでその有用性を実感する契機になり、再スタートすることになったFDSでは、ヘリコプター導入を検討することとなりました。

11月4日第1回目のフライト 新上五島町へリポートの画像

11月4日第1回目のフライト 新上五島町へリポート

ヘリコプターからの長崎の離島空撮の画像

ヘリコプターからの長崎の離島空撮

大きなメリットを実証したトライアル運航

平成23年11月1日から長崎県でFDS事業の「NIMAS」Nagasaki Island Medical Air System/ニーマス)という愛称でヘリコプター導入に向けてトライアル運航(ヘリコプターのチャーター)をスタート。平成24年3月31日まで延べ109名の医師が搭乗し、診察時間の拡大と移動の負担軽減、時間の有効利用につながり、搭乗されたすべての医師から「再度ヘリコプターを活用したい」と評価をいただいています。

医師派遣を受ける離島側にとっても、船便よりも1時間早く診療を開始できるため診察がスピーディーに行えるなど、患者さんにとっても医療機関にとってもメリットが大きいことが実証されました。また、悪天候時はフライトができないことから心配された就航率も上々。フライトケースは長崎大学病院・上五島病院間、長崎県精神医療センター・小値賀診療所間、五島中央病院・上五島病院間、奈良尾医療センター・小値賀診療所間、対馬いづはら病院・上五島病院間など本土離島間はもちろんのこと離島間の移動にも活用して時間に縛られないオンデマンドの運航が実現しました。

平成23年11月1日から平成24年3月31日までのフライト実績

11月 12月 1月 2月 3月 合計
フライト回数 11日 13日 5日 12日 9日 50

欠航回数

2日 0日 1日 2日 3日 8
延べ同乗者数 31人 36人 7人 22人 24人 120
上五島地区就航率 82% 100% 80% 83% 75% 84%

また、患者さんの搬送にも利用されました。長崎市内の病院に入院中の高齢の女性患者さんで、脚が不自由で既往歴に大腸穿孔と心臓疾患もあり船での移動は負担が大きいことから、自宅のある離島の病院へ転院させる際にヘリコプターを使用したいとの申し入れがありました。医師派遣のフライト日に合わせて主治医と家族同乗のもと、長崎空港から転院先の病院ヘリポート間のフライトを実行し、患者さんの負担をかけずに搬送を行うことができたことはFDSならではの利用ケースとなりました。

患者搬送の様子の画像

患者搬送の様子(長崎空港にて)

地域のための本格運航に向けて

このような実績を踏まえて公共性の高い事業として長崎県より地域医療再生臨時特例交付金の承認をいただくこととなり、現在、機体購入・格納庫建設の準備を進めて平成24年度中には本格運航を行う予定です。


NIMAS運航調整室 江口 達也

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