地域医療振興協会では、現在海外の大学と連携した取り組みを開始しています。
その一貫としてこのたび、イギリス、アメリカ、ハワイを訪問しました。
イギリスでは、1948年にNHA(National Health Service)という政府による医療サービス事業を開始しました。NHSの基本的な組織は、プライマリケアとセカンダリーケア、高度医療に分けられます。国民は必ずプライマリケアを担う特定のGP(General Practitioner)に登録し、医療が必要なときにはこのGPにかかります。GPが働く診療所は地域に密着し、子供からお年寄りまで住民のすべての健康問題に24時間対応しています。必要な際には二次医療施設である病院へ紹介されますが、診療結果はGPにフィードバックされます。GPは予防接種、健康診断等も含め、地域病住民の健康記録を責任を持って管理しています。
今回はRCGP(Royal College of General Practitioners、英国家庭医学会)の本部とLondon Deanery と呼ばれる地域の研修施設、実際のGPのオフィスを訪ねました。RCGPはGPの生涯研修に力を入れていますが、現在HP上での運用されている教育マテリアルをJADECOMが日本で活用することの認可や、医師・看護師・コメディカル・事務職員も含めた医療チームの研修等の合意ができました。
イギリスでは地域の質の高い一次医療、地域包括ケアを学ぶことができることを実感しました。
RCGPの建物
RCGP
アメリカでは、フィラデルフィアのトーマス・ジェファーソン大学、ポートランドのオレゴン健康科学大学(OHSU)そしてハワイ大学を訪問しました。
トーマス・ジェファーソン大学では懸案事項であった「ジャパンセンター」がいよいよ具体化し、医師の1ヵ月~3ヵ月コースの研修、またその他の全職種の受け入れ枠を設置してもらえることになりました。来年4月から2年間、毎年20人の留学生を送る予定です。
OHSUは全米トップクラスの家庭医療レジデンシープログラムを実施しており、在学の医学生と共に家庭医療の現状を学ぶ事が出来ます。協会とOHSUとの交流の歴史は長く、これまでにも多くの教員の派遣をしてもらったり、研修医や医学生を送ってきました。今後さらなる交流を深めるべく、実りのある話し合いができました。
ハワイ大学もOHSUと同じように、医師留学制度を実施することとなりました。ハワイ大学は特に老人医療が有名で、救急医療、家庭医療とあわせて3ヵ月コースで学びます。またハワイ大学はシミュレーションセンターが整備されており、短期の見学などは随時受け入れてもらえることになりました。現在いくつかの協会施設でもシミュレーションセンター開設に向けて準備中なので、ハワイ大学を参考にして充実した内容にしていきたいと考えています。
シュミレーションセンター
シュミレーションセンター
地域医療振興協会のミッションはへき地・地域医療です。それを実行していくためには人材の養成が最も重要です。協会で働く人たちが海外も含めいろいろな医療を学び、さらにモチベーション高く、地域医療に取り組んでいけることを願っています。
理事長 吉新通康