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JADECOM NOW!

第15回凍てつく大地での診療活動 〜在宅支援を中心に〜

1月のできごと

北海道の南東部に位置する中川郡池田町は、帯広から東に向かって約25kmに位置しており、冬場はマイナス20℃を超える、まさに「凍てつく」寒さとなる地域です。
この地域の冬は長く、4月の中頃になるまでは、日々の最高気温が10℃を超すことはありません。


この池田町にもJADECOMが運営する、「十勝いけだ地域医療センター」(以下、「センター」とする)があります。
今回のJADECOM-NOWでは、当センター職員が極寒の中奮闘した、平成27年1月の活動の様子を
事務部長 冨田 武男 がお伝えいたします。

(北海道中川郡池田町の地図)の画像

北海道中川郡池田町

(センター外観)の画像

雪のない季節のセンター外観

十勝いけだ地域医療センター

北海道中川郡池田町字西2条5丁目25

Webサイト

1月6日(火)仕事始め

 昨年の大晦日から年明けの数日間は、天候的には晴天が続き平穏でしたが、気温がマイナス20℃を下回る日もありました。この日の午前8時15分、センター長 奥山 泰史 医師から職員に向け「年頭のあいさつ」があり、新しい1年がスタートと なりました。この会には、前日に到着した2週間の実習を行う医学生(5年生)も参加しました。

1月13日(火)訪問リハビリへ

 塩飽(しおあく)絵里 作業療法士と実習中の医学生、専門学生と一緒に凍える寒さの中、歩いて患者さんのご自宅まで「訪問リハビリ」に伺いました。昨年から開始した訪問リハビリは、今では80件/月を超える訪問件数となっております。
 訪問リハビリは身体の不自由な高齢者の方々から特に好評で、訪問先ではゆっくり話をしながら、全身をリラックスしてもらえるよう努めており、このお宅での滞在時間は1時間を超えました

(訪問リハビリの様子)の画像

(訪問リハビリの様子)の画像

塩飽作業療法士と医学生が凍えるような寒さの中、ご自宅へ伺いました

1月14日(水)訪問診療に出向く

センターの長田 雅樹 医師と園部 恵子 看護師で「訪問診療」にも出向きます。この日は医学生さんも同行しました。
センター開設時から行っている訪問診療は、現在、月20~30件。センターに来院された患者さんに診療を行うだけではなく、実際の生活の様子が見えるご自宅まで伺って「診させていただく」ことは、診療活動として大切な部分でもあります。
 一件あたりの滞在時間は平均15分間程度ではありますが、移動だけで往復1時間を超えることもしばしば。この地域は、集落が多方向に広がっており、かつ路面が凍ることも多く、特に冬場は移動に長い時間を要してしまいます。

(3人が移動する様子)の画像

寒風の中、移動する長田医師、園部看護師と医学生

(診療の様子)の画像

患者さんご自宅での診療の様子

1月19日(月)看護実習報告会

昨年5月から行っている「包括ケアの会」の一環として、「看護実習報告会」を行いました。この 包括ケアの会 は、センターが主体となり、月1回 開催しています。


メンバー

  • センター 医師、看護師、MSW(メディカル・ソーシャル・ワーカー)
  • 池田町役場  保健師
  • 在宅事業所(社会福祉協議会、訪問看護ステーション、ディサービス)ケア・マネージャ


など、職種や所属も異なる多くの方々が参加し、池田町における在宅支援サービスについて毎月検討を重ねております。この会を通じて、お互いの顔が見えるコミュニケーションが進み、よりよい住民サービスがスムーズに行うことができていると考えております。

また、センターでは、池田町役場や在宅事業所(以下、「事業所等」とする)との交流を図るために、センターに実習に来られる医学生らを見習い、「センター看護師が事業所等で行う実習」を企画。昨年7月より数回に分けて実施いたしました。

この日は、その実習を終えての報告会を開催。看護師代表の6人が感想を述べました。実習を終えた看護師らの発表を聞き、短い実習ではありましたが、病院とは異なる役場と事業所等での実習は貴重な機会になったことが伺えました。
なお、この報告会の参加者はセンター職員以外の参加者も含めると70名を超え、同じ地域で医療や福祉に携わる者同士、より深い交流を深めることができたものと感じております。

(実習報告を行う小田 さいき 看護師)の画像

実習報告を行う小田 さいき 看護師

(報告会の様子)の画像

発表担当の看護師
(左から6人目まで)

(報告会の様子)の画像

報告会にはたくさんの皆様に参加いただきました

1月20日(火)厳寒の1日の待合室を診察室

寒さが厳しいこの地域では、冬になると患者さんは、帽子と厚手のコート、マフラー、マスクとしっかり着込んでセンターまで来られます。特に高齢者の方や具合の悪い患者さんは防寒対策をしてからの移動するので動くの も一苦労です。
幸い、センター正面玄関前はロードヒーティングされているので、ここまで来られると移動も比較的安全です。病院ですので、やはり小さい赤ちゃんや子供さんも来られます。
この日、外来受診された患者さんは200名超えました。週1回行っている整形外科の診療には多くの患者さんが来られていました。

(待合室での風景)の画像

朝の待合室での風景です。外の気温はマイナス18℃

(除雪された正面玄関)の画像

綺麗に除雪された正面玄関ロードヒーティングされています

(小さなお子さんを診療中)の画像

小さなお子さんを診療中
お母さんと一緒に来られました

1月20日(火)透析カンファレンス

同じJADECOMが運営する 東京ベイ・浦安市川医療センター(千葉県) からの月1回透析診療支援が、今日から始まりました。併せて、この日は支援中の鈴木 利彦医師による透析カンファレンスを開催しました。
センターの透析患者さんも20名近くとなり、透析設備もほぼ満床となっています。地域住民の皆様の健康を支え、寄り添う者として、職員も日々の研鑽は欠かせません。
センターは地域にある小さな医療機関ですが、職員教育には特に力を注いでおります。

(鈴木医師によるカンファの様子)の画像

鈴木医師によるカンファの様子医師以外の職員も熱心に参加しております

1月22日(木)高島診療所

町内の出張診療所である高島診療所でも診療を行います。医師と看護師、医学生も一緒に片道20分、凍える寒さの中、車で向かいます。週1回午後だけの短時間ですが、毎回10人ほどの患者さんが来られます。
患者さんの多くは、冬になるとセンターまで通えない方がほとんど。医学生も医師が見守る中、患者さんの了承をいただき、血圧測定に挑戦しました。

(医学生による血圧測定)の様子

奥山センター長が見守る中、医学生が血圧測定をしております

1月23日(金)降雪

この日(実は)年明けてから初めての雪が降りました。
10cmを超える雪でしたが、池田町では毎日のように雪は降らない土地で、晴天が続くこともしばしば。たまに「どか雪」も降りますが、今年はまだ経験せずに済んでおります。雪が降った後は、職員がセンター周囲や駐車場で除雪します。特に事務職員にとっては、冬の大事な仕事でもあります。「患者さんが来られる前に皆で除けよう!」この日は、センター長も参加しておりました。

「凍てつく大地」
いけだの厳しい冬はまだまだ続きそうです。

(雪かきの様子)の画像

早朝から多くの職員で雪を除けています

バックナンバー

  1. 第32回 第17回 へき地・地域医療学会を開催
  2. 第31回 第16回 へき地・地域医療学会を開催
  3. 第30回 第15回 へき地・地域医療学会を開催
  4. 第29回 第14回 へき地・地域医療学会を開催
  5. 第28回 台東区立台東病院・老人保健施設千束のヘルシーローソンプロジェクト