北海道の南東部に位置する中川郡池田町は、帯広から東に向かって約25kmに位置しており、冬場はマイナス20℃を超える、まさに「凍てつく」寒さとなる地域です。
この地域の冬は長く、4月の中頃になるまでは、日々の最高気温が10℃を超すことはありません。
この池田町にもJADECOMが運営する、「十勝いけだ地域医療センター」(以下、「センター」とする)があります。
今回のJADECOM-NOWでは、当センター職員が極寒の中奮闘した、平成27年1月の活動の様子を
事務部長 冨田 武男 がお伝えいたします。
十勝いけだ地域医療センター
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昨年の大晦日から年明けの数日間は、天候的には晴天が続き平穏でしたが、気温がマイナス20℃を下回る日もありました。この日の午前8時15分、センター長 奥山 泰史 医師から職員に向け「年頭のあいさつ」があり、新しい1年がスタートと なりました。この会には、前日に到着した2週間の実習を行う医学生(5年生)も参加しました。
塩飽(しおあく)絵里 作業療法士と実習中の医学生、専門学生と一緒に凍える寒さの中、歩いて患者さんのご自宅まで「訪問リハビリ」に伺いました。昨年から開始した訪問リハビリは、今では80件/月を超える訪問件数となっております。
訪問リハビリは身体の不自由な高齢者の方々から特に好評で、訪問先ではゆっくり話をしながら、全身をリラックスしてもらえるよう努めており、このお宅での滞在時間は1時間を超えました。
センターの長田 雅樹 医師と園部 恵子 看護師で「訪問診療」にも出向きます。この日は医学生さんも同行しました。
センター開設時から行っている訪問診療は、現在、月20~30件。センターに来院された患者さんに診療を行うだけではなく、実際の生活の様子が見えるご自宅まで伺って「診させていただく」ことは、診療活動として大切な部分でもあります。
一件あたりの滞在時間は平均15分間程度ではありますが、移動だけで往復1時間を超えることもしばしば。この地域は、集落が多方向に広がっており、かつ路面が凍ることも多く、特に冬場は移動に長い時間を要してしまいます。
昨年5月から行っている「包括ケアの会」の一環として、「看護実習報告会」を行いました。この 包括ケアの会 は、センターが主体となり、月1回 開催しています。
この会にはメンバーとして
センター 医師、看護師、MSW(メディカル・ソーシャル・ワーカー)
池田町役場 保健師
在宅事業所(社会福祉協議会、訪問看護ステーション、ディサービス) ケア・マネージャ
など、職種や所属も異なる多くの方々が参加し、池田町における在宅支援サービスについて毎月検討を重ねております。この会を通じて、お互いの顔が見えるコミュニケーションが進み、よりよい住民サービスがスムーズに行うことができていると考えております。
また、センターでは、池田町役場や在宅事業所(以下、「事業所等」とする)との交流を図るために、センターに実習に来られる医学生らを見習い、「センター看護師が事業所等で行う実習」を企画。昨年7月より数回に分けて実施いたしました。
この日は、その実習を終えての報告会を開催。看護師代表の6人が感想を述べました。実習を終えた看護師らの発表を聞き、短い実習ではありましたが、病院とは異なる役場と事業所等での実習は貴重な機会になったことが伺えました。
なお、この報告会の参加者はセンター職員以外の参加者も含めると70名を超え、同じ地域で医療や福祉に携わる者同士、より深い交流を深めることができたものと感じております。
寒さが厳しいこの地域では、冬になると患者さんは、帽子と厚手のコート、マフラー、マスクとしっかり着込んでセンターまで来られます。特に高齢者の方や具合の悪い患者さんは防寒対策をしてからの移動するので動くの
も一苦労です。
幸い、センター正面玄関前はロードヒーティングされているので、ここまで来られると移動も比較的安全です。病院ですので、やはり小さい赤ちゃんや子供さんも来られます。
この日、外来受診された患者さんは200名超えました。週1回行っている整形外科の診療には多くの患者さんが来られていました。
同じJADECOMが運営する 東京ベイ・浦安市川医療センター(千葉県) からの月1回透析診療支援が、今日から始まりました。併せて、この日は支援中の鈴木 利彦医師による透析カンファレンスを開催しました。
センターの透析患者さんも20名近くとなり、透析設備もほぼ満床となっています。地域住民の皆様の健康を支え、寄り添う者として、職員も日々の研鑽は欠かせません。
センターは地域にある小さな医療機関ですが、職員教育には特に力を注いでおります。
町内の出張診療所である高島診療所でも診療を行います。医師と看護師、医学生も一緒に片道20分、凍える寒さの中、車で向かいます。週1回午後だけの短時間ですが、毎回10人ほどの患者さんが来られます。
患者さんの多くは、冬になるとセンターまで通えない方がほとんど。医学生も医師が見守る中、患者さんの了承をいただき、血圧測定に挑戦しました。
この日(実は)年明けてから初めての雪が降りました。
10cmを超える雪でしたが、池田町では毎日のように雪は降らない土地で、晴天が続くこともしばしば。
たまに「どか雪」も降りますが、今年はまだ経験せずに済んでおります。
雪が降った後は、職員がセンター周囲や駐車場で除雪します。特に事務職員にとっては、冬の大事な仕事でもあります。
「患者さんが来られる前に皆で除けよう!」
この日は、センター長も参加しておりました。
「凍てつく大地」
いけだの厳しい冬はまだまだ続きそうです。