メッセージ

地域医療振興協会会長並びに理事長からのご挨拶です。

「へき地に良質な医療の提供を続けて」

公益社団法人地域医療振興協会 会長 川上正舒

 我が国の医療は世界に誇る国民皆保険制度の下、全国民が日本全国どこでも平等に医療を受けられることになっております。しかし、実情は、医療資源、特に医師の偏在により、多くの地方が医療へき地になっております。そのため、1972年に自治医科大学が創設され、これまで、4,700名を超える卒業生がそれぞれの出身地である都道府県でその地域の医療に貢献してきたことは周知の通りであります。しかし、現在なお深刻な医師不足に悩むへき地を抱えている都道府県は少なくありません。

 公益社団法人地域医療振興協会は、このような現状を鑑み、自治医科大学の卒業生が中心となり、自らの地域医療の実践の経験を生かして、出身の都道府県にとどまらず、お互いに連携しながら、我が国の医療へき地に、良質な医療を提供することを目的に、自治医科大学、自治省(当時)の支援を受け、1986年に設立されました。第一期卒業生を中心に、自治医科大学の卒業生が関東の数か所で病院、診療所の運営をはじめたのを出発に、その後、順調に発展し、現在では、文字通り北は北海道から南は沖縄まで全国各地で、85に及ぶ病院や診療所の運営を行っております。これらの施設は自治医科大学卒業生とともに、地域医療に興味を持つ他の医科大学の卒業生とも力を合わせて運営され、多くの住民の健康維持に努力しております。

 さらに、地域では、専門知識技能に偏らない総合的な対応のできる医師を求められことが多いことから、自ら総合医の育成研修にも努め、医師不在の地域医療機関に勤務医、代診医として派遣する活動にも取り組んでおります。これからも、地域医療振興協会は自治医科大学と一体となって地域医療を支える努力を続ける所存です。引き続き、関係各位のご支援、ご鞭撻をお願いいたします。

「地域医療の諸問題の解決に向けて」

公益社団法人地域医療振興協会 理事長 吉新通康

 「わが国の地域医療の確保と質の向上」を目的として地域医療振興協会が、自治医大の卒業生が中心となって誕生してから37年が経過します。この間地域医療を取り巻く環境は大きく変化しましたが、依然として医師などの医療人の不足が大きな問題となっております。医師や医療施設などの医療資源は大都市や地方の都市部に偏在しており、山間、離島といった「へき地」には、日常の医療にも恵まれない地域が依然多数存在します。私たちはへき地での医療を担当した経験を通じ、へき地医療を取り巻く諸問題を解決し、へき地医療の確保と質の向上を目指す総合的な組織が必要であると痛感してまいりました。

 地域医療振興協会は、へき地医療に実績のある医師を会員としたへき地医療のための団体です。無料職業紹介事業での医師の斡旋、へき地等での医療施設の指定管理等での運営、拠点病院からの代診医の派遣やネットワークの構築、自治体の保健医療福祉計画の立案や支援、へき地を担う「総合医」の養成や生涯教育、医学生のへき地医療体験の支援、『月刊地域医学』の発刊、自治医大での寄附講座「医療人キャリア教育開発部門」の開設、COVID-19などの情報共有や相互支援など、へき地医療を支える事業を総合的に展開しております。医療過疎の地域は依然多く、期待される支援も幅広く、解決困難なものばかりですが、協会が一体となって積極的に団結、運営に当たれば、必ずや解決できるものと信じ活動してまいります。

 当協会の運営にあたりまして、日頃ご指導、ご協力いただいております内閣府、総務省、厚生労働省、各都道府県並びに市区町村、自治医科大学をはじめとした関係各位に感謝申し上げますとともに、今後より一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようよろしくお願いいたします。