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VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)全棟検査の実施及び今後の対応等について

[2016.12.26]

1.概要


 平成27年12月以降報道されているとおり、三浦半島において、バンコマイシン(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の治療に用いられる抗生物質)に対し耐性を獲得した腸球菌であるVREを保菌する患者さんが多数確認されています。
 このため、平成28年1月に横須賀市保健所が中心となり、横須賀市内の各医療機関及びこれらの医療機関と行政の間で、感染対策の取組み状況を共有しつつ連携を図るための、院内感染対策ネットワーク(横須賀市院内感染対策ネットワーク(以下、YKNと略))が立ち上げられました。当院もこれに参加しYKNの基準に沿った対策のひとつとして、平成28年2月から入院される全ての患者さんに対して入院時VRE保菌検査を実施し、感染対策を行ってきました。
 このたび、横須賀市保健所の指導の下、平成28年12月15日に当院に入院されている全ての患者さんに対してVRE保菌検査(全棟検査)を実施しました。

※VRE(バンコマイシン耐性腸球菌:Vancomycin-resistant Enterococcus)とは
 腸球菌は、もともと人間の腸内に一般的に存在し、消化吸収を助けてくれる細菌ですが、バンコマイシン(抗生物質)に対し薬剤耐性を獲得したものをVREと言います。VREは病気を起こす力(病原性)が弱く、感染症として発症することは少ないのですが、知らない間に腸の中に住み着いてしまうことが知られています。この状態を保菌といいます。
 様々な病気で抵抗力が落ちている時に保菌した場合は、感染症を発症する事があるといわれています。
 つまり、VREは健康な人では保菌し、発症することは極めて少ないとされています。
 VREは、人間同士の接触、人間とモノの接触によって広がっていきます。そのため医療機関においては、VREの広がりを防ぐ対策が必要となります。

2.全棟検査の結果


 平成28年12月15日に全棟検査(387名)を実施し、陽性者は31名で全員保菌者でした。内訳は、入院中17名、自宅退院7名、転院6名、死亡退院1名です。
 なお、死亡退院の1名は、もともとの病気が原因で亡くなられました。(死因はVREと因果関係はありません)

3.具体的な感染対策


(新規に行うもの)
@専用病棟の設置
 感染拡大を予防するため、保菌者を特定の病棟に集めて対応しています。
A全棟検査の実施
 神奈川県院内感染対策支援体制により、横浜・湘南ブロック主幹病院である横浜市立大学附属病院の専門家の指導を受け、12月15日に1回目を行い、一週間後の12月22日に2回目、12月28日に3回目の全棟検査を予定し、新規発生がないか確認していきます。検査の実施に当たっては、入院患者さんやご家族に対して、医師が文書を用いて説明、同意をいただき、ご協力を得ています。
B入院時検査の強化
 入院時のVRE保菌検査は、YKNの基準により過去6か月以内に医療機関等の入院歴がある患者さんに実施してきましたが、12月15日から再び入院される全ての患者さんに対して実施しています。検査結果で陰性が確認されるまでの間は、特定の病室にて対応しています。検査の実施に当たっては、入院患者さんやご家族に対して、医師が文書を用いて説明、同意をいただき、ご協力を得ています。
CVRE保菌者のフォローアップ
 皆様が安心していただけるように専用外来を設けるなどして、フォローアップをしていきます。
D横須賀市立うわまち病院VRE対策会議の設置
 外部委員として、横浜市立大学附属病院感染制御部長に委員長を、鎌倉保健福祉事務所長、横須賀市保健所長、横須賀共済病院感染管理認定看護師に委員をお願いし、VRE対策会議を平成28年12月28日に開催します。
EVRE感染対策特別委員会の設置
 院内に、既存の感染対策委員会とは別に、VRE感染対策の特別委員会を設置し、対応していきます。

(引き続き行うもの)
@手指衛生の徹底
・感染対策チーム(ICT)及び病棟看護師長、医師、トレーニングを受けた医療技術員等が週2回全病棟をラウンドし、手指衛生の実施状況を確認し指導を行っています。
・携帯用アルコール手指消毒薬、設置型アルコール手指消毒薬を使用し、その都度手指衛生を実施しています。
・入院患者さんの毎食前手指消毒及びテーブル等周辺環境消毒を実施しています。
A個人防護具の適正使用
 患者ケア時における個人防護具(手袋・マスク・エプロンなど)の適正使用と正しい着脱方法の教育および実践を徹底しています。
B環境清掃の強化
 院内全体における環境消毒の強化を図っています。具体的には、トイレ、ドアノブ、手すり、ベッド柵、オーバーテーブル、スクリーンなど高頻度接触面の環境清掃を1日2回から1日3回以上に増やし、清掃の徹底を図ります。
C職員教育と情報共有
・全職員、委託職員に対して知識や技術の教育を感染対策医師(ICD)、感染対策看護師(ICN)、看護師長、看護主任、感染リンクスタッフが繰り返し行い、感染防止対策の再確認を行っています。
・院内報、全体集会、医局会や電子カルテへの掲示を行い、啓発しています。
・平成28年1月から毎月1回の職員全体集会でVRE感染対策を周知しています。
D抗菌薬適正使用の強化
 耐性菌対策として重要な、院内における抗菌薬の適正使用の強化を図ります。
 具体的には、抗MRSA抗菌薬使用報告と使用後2週間目、その後1週間ごとに確認を行います。
E外部有識者からの指導・助言
 引き続き、横浜市立大学附属病院等の外部有識者と感染対策実施状況を共有し、指導・助言を受けながら対策を講じていきます。

4.今後に向けて


 VREは病原性が弱いとは言え、当院はこれからも全棟検査と入院時検査を実施し、状況把握に努めるとともに、引き続き、病院職員一同、感染対策を徹底してまいります。
 また、横浜市立大学附属病院の専門家、横須賀市保健所、YKN等と連携し、ご指導いただきながら、収束に向けて取り組んでまいります。
 経過については、横浜市立大学附属病院の専門家、横須賀市保健所、YKN等への報告は勿論ですが、地域の皆様に安心していただくために、今後当院のホームページにおいて随時報告いたします。
 入院されている患者さん、ご家族の皆様には、ご心配とご迷惑をお掛けしますが、感染対策には皆様のご協力が不可欠です。ご理解いただきますようお願いいたします。

                                               以上

患者さん、ご家族の方および横須賀市立うわまち病院にかかわる皆様へ(PDFファイル)